Event Overview
若郷の大踊。赤い布「カバ」を笠から垂らし、黒い紋服の着流しに白足袋で踊る(写真:新島村観光案内所) 東京都の島…
- 2026/8/14 18:30 - 2026/8/15 21:00
- 妙蓮寺(若郷)/長栄寺(本村)
- 無料(見学自由)

東京都の島、新島にはお盆の二晩だけ踊られる「大踊(おおおどり)」がある。国の重要無形民俗文化財で、2022年11月にはユネスコ無形文化遺産「風流踊」の一つとしても登録された。それだけの格がありながら、日程や見学の仕方をまとめた情報はほとんど出回っていない。2026年は8月14日(金)に若郷、8月15日(土)に本村で踊られる。踊る場所も曲も装いも二地区で違うので、どちらを見るかで旅程が変わる。しかも若郷へ行くには、島の中でも移動手段がかなり限られる。
2026年の開催概要
大踊の日付は毎年決まっていて、若郷が8月14日、本村が8月15日。2026年はそれぞれ金曜と土曜にあたる。会場は集落の寺の境内で、若郷が妙蓮寺、本村が長栄寺になる。
| 項目 | 若郷の大踊 | 本村の大踊 |
|---|---|---|
| 開催日 | 2026年8月14日(金) | 2026年8月15日(土) |
| 時間帯 | 晩(過去には18時30分ごろ開始) | 夕方から |
| 会場 | 妙蓮寺 境内(新島村若郷) | 長栄寺 境内(新島村本村) |
| 料金 | 無料・見学自由 | |
| 雨天時 | 中止(順延なし) | |
| 保護団体 | 若郷大踊保存会 | 新島大踊保存会 |
| 指定 | 国指定重要無形民俗文化財(2005年2月21日指定)/ユネスコ無形文化遺産「風流踊」 | |
開始時刻は年によって前後するため、村や新島村観光案内所に確認しておくのが確実だ。順延がない行事なので、雨の予報が出たら踊り自体が流れる前提で日程を組んでおきたい。実際、ある年は雨で本村の盆祭が中止になり、翌年に地元から「今年はやれるといいなぁ」という声が上がったこともある。船と宿を押さえて島まで渡っても、当日の天気次第では見られない——そういう行事だと分かったうえで計画したい。
若郷へは車かバイクでしか行けない
ここが最大の落とし穴になる。新島の港と宿は本村側に集まっていて、若郷は島の北側にある別の集落だ。両者を結ぶのは全長2.8kmの平成新島トンネルで、このトンネルは徒歩と自転車の通行が禁止されている。つまりレンタサイクルで若郷の大踊を見に行くことはできない。
手段は三つある。村営の「ふれあいバス」は無料だが1日3便しかなく、夜の踊りに合わせた便があるとは限らない。タクシーは島内に2社。残るはレンタカーかレンタバイクで、新島にはレンタカーが6事業者、レンタサイクル・バイク合わせて9事業者ある。料金の目安は普通車が8時間10,000円ほど、軽自動車が7,000〜8,000円ほど、50ccのバイクが3時間3,500円ほど。お盆は島の車両が押さえられるので、宿と一緒に早めに手配しておきたい。
本村の大踊だけを見るなら話は単純で、長栄寺は本村の集落内にあるため宿から歩いて行ける距離に収まることが多い。「船と飛行機の都合で一晩しか島にいられない」という人は、移動の手間がかからない8月15日の本村を選ぶ判断もある。

何を見る踊りなのか
大踊は、江戸初期からおよそ200年続いた流刑地時代に島へ入った芸能とされ、ルーツは室町時代の風流踊にさかのぼる。流人が手ほどきしたという言い伝えも残る。
踊り手は「カバ」と呼ぶ布を笠のまわりにたっぷり垂らして顔を隠し、紋服の着流しに真田織の帯を締め、腰に印籠を下げる。この印籠を身につけていないと踊りの輪に加われない決まりがある。若郷のカバは赤で、黒い紋服との対比が強い。伴奏は太鼓だけで、あとは生の歌声。母音を長く引き延ばす独特の節に合わせて、大きくゆっくりと手足を運ぶ。花火大会のように音で盛り上げる祭りではなく、暗くなった境内に歌と足音だけが響く時間が続く。
境内には「カサボーロク」と「カマ」が立つ。カサボーロクは大きな傘に幕を張り巡らせたもので、若郷では婦人会の女性たちの名前が書かれ、本村では女性の名前を書いた短冊状の布が傘に取り付けられる。カマは長い棒の先に鎌を付け、縄を巻き付けたもの。どちらも魔除けの役割を持つ。
演目は本村が役所入り踊・お福踊・伊勢踊の3曲、若郷が役所入踊・備前踊・青が丸・伊勢踊の4曲。ただし、その年に何曲踊るかは回によって違い、若郷で『青が丸』と『伊勢踊り』の2曲が予定された年もある。踊り方にも差があり、若郷は膝を曲げて重心を低く取り、大きくうねるように踊る。本村は腰の位置がやや高い。両方見比べるために2泊する人がいるのは、この違いがあるからだ。
本村の始まり方は、その荘厳さがよく語られる。僧侶と村の代表が着席し、お茶が供されたあと、提灯を先頭に踊り衆が二列になって境内へ入ってくる、という段取りになっている。若郷では、道路から出入口の短い坂道を上って赤いカバの踊り衆が境内に上がってくる。地元の高校生が「シンポウニン」(初めて大踊を踊る人)として輪に加わる年もある。崖を背にした境内が宵闇に沈むなか、生の歌声と足音だけが響く時間は、独特の緊張感がある。
島の人にとっての盆行事だという前提
大踊は観光イベントではなく、集落の盆行事としてそのまま続いている。地元の高校生が「シンポウニン」(初めて大踊を踊る人)として踊り衆に加わる、といった形で世代が入れ替わりながら受け継がれている。境内には地元の人が集まり、階段や縁側に腰かけて見ている。
見学する側としては、踊りの輪や進行の妨げにならない位置に立つ、供物や祭具に触れない、といった当たり前のことを守れば問題ない。撮影については行事によって扱いが違うので、フラッシュを焚かない、三脚で通路をふさがない程度の配慮はしておきたい。判断に迷ったら現地の役員に一声かければいい。

新島までの行き方と、お盆の宿
新島へは船と飛行機の二通り。東海汽船の高速ジェット船なら竹芝から約2時間30分〜3時間で着く。竹芝客船ターミナルはJR浜松町駅北口・地下鉄大門駅から徒歩約10分、ゆりかもめ竹芝駅からは徒歩約1分。大型客船「さるびあ丸」は竹芝を22〜23時に出て約8時間の夜行便になる。船内にレストランがあり、寝ている間に着くので、翌朝から丸一日使える。
飛行機は調布飛行場から19人乗りの小型機「ドルニエ」で35分。調布駅からはバスで約25分、タクシーで約10分。ただし機体が小さいぶん座席数が限られるので、お盆は早い段階で埋まる。
宿も同じで、8月14日・15日は島全体が混み合う。大踊を目的に行くなら、宿・交通手段・レンタカーの三つを同時に押さえてしまうのが安全だ。逆に言えば、そこさえ確保できれば、踊り自体は無料で誰でも見られる。
どちらの晩を選ぶか
整理すると、こうなる。車やバイクを手配できて、より原型に近い低く沈み込む踊りを見たいなら8月14日の若郷。移動の負担を減らしたい、島に着いた日にそのまま見たいなら8月15日の本村。両方見るなら8月13日から16日あたりまでの日程を取ることになる。
ユネスコの無形文化遺産に登録された踊りが、観光向けの演出を一切挟まずに寺の境内で踊られている。しかも東京都内で、船に乗れば行ける。そういう機会は年に二晩しかない。
まとめ
- 2026年は8月14日(金)に若郷・妙蓮寺、8月15日(土)に本村・長栄寺で開催。無料・見学自由
- 雨天中止で順延はない。開始時刻は年により変わるため事前に村・観光案内所へ確認を
- 若郷へ通じる平成新島トンネルは徒歩・自転車が通行禁止。レンタカーかレンタバイクの確保が現実的
- 村営ふれあいバスは無料だが1日3便。タクシーは島内2社のみ
- 演目は本村3曲・若郷4曲。若郷は赤いカバ、踊り方は膝を曲げて低く構える
- 竹芝から高速ジェット船で約2時間30分〜3時間、夜行の大型客船で約8時間、調布飛行場から飛行機で35分
イベント情報
- 開催期間
- 2026/8/14 18:30 - 2026/8/15 21:00
- 開催場所
- 妙蓮寺(若郷)/長栄寺(本村)
- 住所
- 東京都新島村
- 主催者
- 若郷大踊保存会/新島大踊保存会
- 料金
- 無料(見学自由)
- 状態
- 開催予定
